受験上の配慮、時間延長の倍率が公式にあるのは4試験だけ
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8試験の公式案内を開いて、時間延長の倍率が書いてあったのは4つでした。
情報処理技術者試験とITパスポートが1.5倍。社労士は1.5倍と1.33倍と1.25倍の3段階でした。英検が1.5倍。TOEIC L&Rは1.5倍か2倍。

残る3試験は違います。宅建・日商簿記・FP技能検定は、倍率どころか延長制度の有無すら書いていません。
同じ「受験上の配慮」という言葉でも、公開されている中身の量が試験ごとに違います。
数字は2026年9月3日に、各実施団体の公式ページと受験案内PDFで拾いました。
この記事でわかること
- 時間延長の倍率を公式に数字で出しているのは8試験のうち4つだけ
- 社労士だけが1.5倍・1.33倍・1.25倍の3段階を択一式315分・280分・265分と分単位で公表
- 2倍まで選べるのはTOEIC L&Rだけで、倍率は医師の診断書の記載が決める
- 診断書の有効期間は社労士3か月・英検1年・TOEIC2年とバラバラ
時間延長の倍率が公式にあるのは4試験【結論】
倍率を数字で出していたのは、IPAの2試験・社労士・英検・TOEIC L&Rでした。
8試験の倍率を並べた表
情報処理技術者試験とITパスポートは同じ1.5倍の規定なので、1つに数えています。
| 試験 | 時間延長の倍率 | 公式に書かれている中身 |
|---|---|---|
| 情報処理技術者試験 | 1.5倍 | 倍率と、科目ごとの実施時刻 |
| ITパスポート | 1.5倍 | 120分から180分へ、分数で明記 |
| 社会保険労務士 | 1.5倍/1.33倍/1.25倍 | 3段階を分単位で明記 |
| 英検(従来型) | 1.5倍 | 一次試験の配慮メニューごとに指定 |
| TOEIC L&R | 1.5倍または2倍 | 診断書に倍率を書いてもらう方式 |
| 宅地建物取引士 | 記載なし | 配慮の例のみ。延長の有無も不明 |
| 日商簿記検定 | 記載なし | 申請の方法と必要書類のみ |
| FP技能検定 | 記載なし | 依頼書の提出期限と申請の順番のみ |
宅建・日商簿記・FPは、延長の有無すら書いていない
宅建の受験案内 第11に並ぶのは、配慮の例が5つ。低層階の試験室、座席の指定、車での来場。ぜんそくの発作への配慮と、通常の試験方法で支障がある場合の別途指定です。
延長、別室、拡大文字、点字。どれも出てきません。
FP技能検定はもっと短いです。1級実技の「バリアフリー対応要望依頼書」と、2級3級CBTの「試験予約前に配慮希望申請」だけ。日本FP協会は2026年にサイトをリニューアルしており、検索結果に残っている旧ページは今は404でした。
「書いていない」と「認めていない」は別
「載っていないってことは、無理ってこと?」
そうとは限りません。宅建は「ご事情を確認の上、別途指定する試験室又は試験方法等で受験していただきます」と書いています。個別に決める書き方ですね。
ただし何が通るのかは、協力機関に事前相談するまで分かりません。倍率が公開されている4試験とは、準備のしかたが変わります。
社労士だけが延長を3段階に分け、分単位で出している
択一式は315分・280分・265分。3つの数字が公式のPDFに並んでいます。
1.5倍は択一式315分、105分の上乗せ
視覚障害の重度に当たる区分です。選択式が120分で40分延長。択一式が315分。上乗せは105分です。
延長後を足すと435分。延長前は290分です。差は145分。7時間15分です。机の前にいる時間が、それだけ延びます。
1.33倍と1.25倍は、対象の区分で分かれる
1.33倍は肢体障害で筆記速度が著しく遅い方です。選択式110分、択一式280分、合計390分。
1.25倍は矯正視力0.15未満などの区分でした。選択式100分、択一式265分、合計365分。
3段階の合計は435分・390分・365分。上と下で70分開きます。
診断書は申込み前3か月以内の原本
社労士の試験センターは、診断書の指定様式を持っていません。写しの提出も可です。ただし例外はあります。必要に応じて、原本を求められます。
妊娠中の申請なら母子健康手帳の写し。申請書類は受験申込みと同時に出します。申込後の追加申請はできません。
過去に認められた措置でも、毎年審査される
「措置内容の審査は毎年の試験ごとに行うため、過去に認められた措置であっても、却下となる可能性があります」。
去年通ったから今年も通る。その前提は置けません。過去に申請した人も同じでした。申込の都度、書類を出し直します。
2倍を選べるのはTOEIC L&Rだけ
1.5倍か2倍。8試験のうち、2倍という数字が出てくるのはここだけでした。
倍率を決めるのは、受験者が持ち込む診断書
時間延長には医師の診断書が要ります。書いてもらうのは「延長を必要とする具体的な症状・理由、延長倍率(1.5倍/2倍)」。
倍率を先に決めるのは試験団体ではありません。診断書の記載のほうです。書いてもらえなければ、2倍にはなりません。この作りは8試験でTOEICだけでした。
延長対応は午前の実施回だけ
L&R公開テストで延長を使えるのは、午前の回だけです。依頼の受付は、受験を希望する回の申込受付締切日時まで。受付期間後の依頼は通りません。
リスニング終了後に15分の休憩が入る
延ばすのは2か所です。リスニングの問題間の解答時間と、リーディングの試験時間。加えて、リスニングが終わったところで15分の休憩。
延長以外の配慮は5つ。拡大版解答用紙、拡大版問題用紙、イヤホン受験、リーディングのみ受験、車いす対応座席です。
診断書の有効期間は、3か月から2年まで開く
社労士が申込み前3か月以内、TOEICが発行日から2年間。同じ紙が通用する幅が、ここまで違います。
4試験の条件を並べる
| 試験 | 診断書の条件 | 日数に直すと |
|---|---|---|
| 社会保険労務士 | 申込み前3か月以内に発行された原本 | 約90日 |
| 情報処理技術者試験・ITパスポート | 令和8年7月6日以降のもの | 試験回ごとの基準日で切る |
| 英検(従来型) | 申請受付開始日から遡って1年以内 | 約365日 |
| TOEIC L&R | 発行日から2年間 | 730日 |
その列で最も高い値最も低い値
一番短い社労士と一番長いTOEICで、約90日と730日。単純に割ると約8倍です。
IPAだけ、月数ではなく日付で切る
令和8年度前期は「令和8年7月6日以降のもの」。試験回ごとに基準日が動きます。
しかも日本国内で交付・発行されたものに限られ、コピーは不可。指定医師の診断書を追加で出すよう求められることもあります。
手帳がなくても出せる試験がある
宅建は障害者手帳など公的証明書のコピーが基本です。持っていない人は、医師の診断書等を出します。
英検は車いす使用等の下肢障がいのみなら、書類そのものが不要。TOEICは手帳と診断書のどちらか1点で足ります。IPAも、時間延長を伴わない措置なら医師の診断書(原本)で通ります。
手帳の交付は待たなくていい。この4つについては、そういうことですね。
発達障害の時間延長だけ、様式が別建て
IPAは発達障害による時間延長のために、IPA所定の診断書を用意しています。
身体障害者手帳ベースの他の措置とは別の枠です。情報処理技術者試験もITパスポートも、対象として名指しで書いています。
配慮の申請は、本申込より前に閉まることがある
英検は本申込より約1週間早く締め切ります。IPAは審査を通してから受験申込です。
英検の配慮申請は、本申込より約1週間早い
2026年度第2回の配慮申請は6月23日から8月28日まで。英検本体の申込受付は6月30日から9月7日まででした。
公式が「英検申込受付期間より約一週間前倒しにしています」と注意書きを添えています。期間を過ぎてからの申請・変更・追加は不可。
英検S-CBTは各申込締切日の1週間前まで。S-CBTの配慮一覧に並ぶのは、虫眼鏡やイヤーマフ、試験中の服薬。延長は挙がっていません。
IPAは申請と審査を通してから、受験申込になる
情報処理技術者試験は、受験申込の前に特別措置申請を出します。二段構えです。
令和8年度前期は、応用情報・高度・支援士が8月26日から9月11日17時。SGとFEが9月1日から9月11日17時。ITパスポートの特別措置試験は9月1日10時から9月11日17時まで。
証明書類は9月11日消印有効の簡易書留で送ります。送るのは身体障害者手帳のコピーか、医師の診断書です。
点字受験だけ、締切がさらに1週間早い
IPAで点字受験を希望する場合の申請期間は、8月26日から9月4日17時。
点字以外の特別措置より1週間短く閉まります。同じ試験の同じ回で、締切が2本ある形ですね。
CBTは会場ごとに可否が違うので、予約より前に申請する
日商簿記2級3級のネット試験と、FP2級3級のCBT。どちらも試験予約の前に、配慮希望申請を出します。
会場ごとに可否が違うためです。予約を先に取ると、希望が通らないことがあります。FPは申請の回答を受けてから、自分で受検予約を入れる順番でした。
事前申請なしの当日申し出は、宅建も日商簿記も通らない
宅建のFAQは「上記の手続がないまま、直接試験会場に来られても対応いたしかねます」と書いています。
宅建は事前相談と申込画面への入力がセット
まず申込先の都道府県の協力機関へ事前相談。そのあと希望内容を申込画面に入力します。
令和8年度のインターネット申込期間は7月1日から7月31日。この期間の中で、相談まで終える段取りになります。
提出するのは障害者手帳など公的証明書のコピー。持っていない場合は、医師の診断書等です。
日商簿記は、日常使う補聴器やルーペも無申請では使えない
「日常生活において使用している補聴器やルーペ等についても申請なく受験時に使用することはできません」。
申請は受験申込の際に、申込画面から行います。添付書類のアップロードが要ります。書類は先に手元へそろえます。
紙の「受験上の配慮申請書」は2022年度で廃止。添付が無ければ配慮は認められません。
機器の貸出はない。用意されるのは紙のほう
英検は「点字盤・拡大読書器・車いす等の配慮受験に必要な機器の貸し出しはありません」と明記しています。用意されるのはタブレットだけ。
逆に紙は各団体が作ります。IPAの拡大問題冊子はB4判で拡大率1.4倍。白黒反転版まであります。
英検は拡大墨字A3が25Pゴシック体、普通墨字A4が18Pゴシック体。社労士は試験問題用紙をB5からA3へ拡大します。フォントサイズまで公表しているのは英検だけでした。
【Q&A】配慮申請で最後に引っかかる3つ
Q. 障害者手帳がないと申請できませんか
試験によります。
宅建は手帳のコピーが基本で、持っていない場合は医師の診断書等。TOEICは手帳か診断書のいずれか1点。IPAは手帳のコピーが原則です。時間延長を伴わない措置なら、医師の診断書(原本)でも通ります。
Q. 去年認められた配慮は、今年もそのまま使えますか
社労士は使えません。
審査は毎年の試験ごとです。過去に認められた措置でも却下の可能性がある、と公式が書いています。申込の都度、書類の提出が要ります。
Q. 補聴器や車いすなら、当日その場で言えば通りますか
通りません。
日商簿記は日常使っている補聴器やルーペも、無申請では使えません。宅建は手続きのないまま会場に来ても対応しない、と明記しています。CBTは会場ごとに可否が違うので、予約より前の申請になります。
宅建・日商簿記・FP技能検定は、延長の可否そのものが取れていない
- 数字と文言は2026年9月3日に、8試験の実施団体の公式ページと受験案内PDFを開いて拾いました
- 宅建・日商簿記・FP技能検定は、時間延長・別室・拡大文字・点字のいずれも公式に記載がなく、可否そのものを確認できていません
- 日商簿記で根拠にできたのは東京商工会議所の案内だけで、他の商工会議所は条件が違う可能性があります
まとめ|倍率が読めるのは4試験、残りは聞くしかない
- 時間延長の倍率を公式に数字で出しているのは、IPAの2試験・社労士・英検・TOEIC L&Rの4つ
- 宅建・日商簿記・FP技能検定は、倍率どころか延長制度の有無も公式ページに書かれていない
- 社労士だけが1.5倍・1.33倍・1.25倍の3段階を、択一式315分・280分・265分と分単位で公表している
- 1.5倍の社労士は選択式と択一式を足して435分。延長前の290分より145分長い
- 2倍まで選べるのはTOEIC L&Rだけ。倍率を決めるのは医師の診断書の記載
- 診断書の有効期間は社労士3か月、英検1年、TOEIC2年。日数に直すと約8倍の開き
- IPAは月数ではなく日付で切る。令和8年度前期は令和8年7月6日以降の診断書に限られる
- 申請の締切は英検が本申込より約1週間前、IPAの点字受験はさらに1週間早い
- 宅建も日商簿記も、事前申請なしの当日申し出には対応しない
- 点字盤・拡大読書器・車いすは貸してもらえず、用意されるのは拡大問題冊子などの紙
倍率が出ていない3試験は、協力機関か商工会議所に聞くほかありませんでした。
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